六月の雪

緋色は雪の涙なり

Learn as if you will live forever, Live as if you will die tomorrow.
 
 
  

ポスト・ヒューマン誕生

加速度の意味するところは、人類の進歩は指数関数的なものであり(定数を掛けることで繰り返し拡大する)、線形的(定数を足すことにより繰り返し拡大する)なものではない、ということだ。

 過去を振り返れば理解出来る。

 私の記憶に残る一番古い時代は第二次高度経済成長期だが,その8年間で驚くほど世界は変わった。道路は舗装され,自動車は目に見えて増加し,それに伴い大きな道路に自動車販売店を見かけるようになり,都市ガス化が進み,トイレの水洗化が進み,カラーテレビが普及し,スーパーマーケットが現れた。インフラ整備の時代だった。

 その後の10年間は変化がより細やかな部分へ移り,しかも目に見えて生活は便利になっていった。ラジカセが出現し,手軽に好きな音楽を録音できるようになった。UHFアンテナがテレビに内蔵され,冷凍冷蔵庫が一般化し,洗濯機には脱水機がつき,炊飯器には保温機能が追加され,ガス湯沸かし器が普及し,一般家庭でもぼちぼちエアコンがつき始めた。でもまだ変化は小さく見えたと思う。

 次の10年でコンピュータの時代が始まって,指数関数的拡大が目に見え始めてきた。wwwが誕生し,マイコン,コンパクトディスク,BasicやDOSで動くパーソナルコンピュータ,パソコン通信,携帯端末。今便利に使っている物たちは既に原始的な形で誕生していたが,20年後の状況など想像もできなかったし,事実想像もできなかった現代の生活がある。それを思えば今から20年後は考える以上に異なった生活が待っていることだろう。それだけがわかる。テクノロジーの進歩はたしかに指数関数的だ。