六月の雪

緋色は雪の涙なり

Learn as if you will live forever, Live as if you will die tomorrow.
 
 
  

孤立の大都会

 東京で暮らし始めて,初めて体験したこと。

 自分が現在住んでいる土地を名指しで「自分は住めない」と人から言われること。
 酷い時は「嫌なところ」とまで言われる。
 普通,人が住んでいて誰かが故郷とする土地に対し,名指しでそんなことは言わないだろう。東京なら言ってもよいというのか?

 一方,東京の方も実に自分中心で,周りが見えていない発言が多い。他所に比べたら大して寒くもないくせに東京のテレビは「寒い寒い」と言い,大して暑くもないのに「暑い暑い」と言い,何か起ころうものなら「東京がこんなに大変です」アピール。
 そのくせ,他所が台風で大変でも離れている場所であればあるほど東京のテレビはぞんざいに扱う。自分が東京に住んでいても,地方で40年以上暮らした私はそれを腹立たしく見る。

 想像を絶する人口密度。人が多ければ,人が少ないところは無視。ある程度理に叶っているし仕方がないことだとも思う。が,感じ悪いには違いない。
 一方,人が少ないところから見れば,大勢の人がいるから,ちょっとくらい否定的なことを言っても傷つかないと思えるのだろうか。こんなに沢山の人が住んでいて,みんな普通に生活しているのに,あなた一人だけここに住めないなんてことはないでしょう。

 「東京って旅行するなら楽しいところ,でも自分は住めない。」
 そんなことを平気で私に言うひとたち,私が好きで東京へ引っ越したと思っているの?
 もし私が気が進まないけど止ん事無き事情で仕方なく住んでいたとしたら,そう言われて何と感じると思う?
 人は必要になれば何処にだって住める。生存可能な気温とか水とか空気とか食料があれば。でも,アマゾンのジャングルに住めとか,ヒマラヤの山中に住めとか言われたのなら「自分は住めない」と答えても当然かと思う。東京は違うでしょ。

 私は縁あって住むことになった場所のことは,必ず愛する。
 東京だって例外ではない。
 東京の素晴らしさをいっぱい見つけて「自分は住めない」なんて平気で言ってくる人たちの言葉が,単なる妬みにしか見えないようにしてやる。