六月の雪

緋色は雪の涙なり

Learn as if you will live forever, Live as if you will die tomorrow.
 
 
  

言葉は想像力と共にある

怒りへの考察

 喜びや優しさなどに比べ,怒りや嫉妬,憎悪などマイナスの感情が持つエネルギーは凄まじいと思う。時間をかけて積み重ねたはずのプラスの感情も,あっというまに吹き飛ばされる。

 人は自分のことすらきちんと理解できない。ましてや他人の心など理解できる筈がない。
 故に,他人に対する怒りとは,非常に理不尽かつ自己中心的で高飛車な感情であると私は思っている。自分に見える状況はあくまで主観的なものであって,真実ではない。それなのに,相手の本心や状況など全く理解できていないことを棚に上げ,自分の都合と理屈で相手の心や感情を決めつけ,そのうえ非難までしているのだから。かなり恥ずかしい行為だ。

 理解もできていない他人に対して怒るのは筋違いなことと考える故,私は他人に対して自分が怒ることを良しとしない。しかし,他方で自分の怒りを恥じない人々があることは受け入れざるを得ない。平穏な気持ちで過ごしたいなら,自分に対する理不尽な怒りや憎悪を向ける相手に対しても,怒りを返す以外の方法で立ち向かえる強さを持たなければならない。
 マイナスの感情を制することができない人々は,他人の理屈は受け入れないのに自分の感情にはやたら自信を示すことが多いので,難しいのだが。

「常識」なんてそもそも存在しない,言って良いことも悪いことも,人にしてもらって嬉しいことも嫌なことも,人によって違う。それを想像し続けること,受け入れ続けることが怒りとの決別に繋がっていく。
 言葉は想像力と共にある。
 想像力を伴わないなら,それは言の葉ではなくただの暴言。暴言を吐く非礼さは,相手の人格を尊重していない場合にのみ鎌首をもたげるものだ。