六月の雪

緋色は雪の涙なり

Learn as if you will live forever, Live as if you will die tomorrow.
 
 
  

アルジャーノンに花束を

 『RDGレッドデータガール』で高柳くんが『アルジャーノンに花束を』を愛読していると言ったのを聞いて興味が出て,以来ずっと読もうと思っていた。
 まず「こんなSFがあるんだ!」と思った。ハードSFが好きでかなり色々読んだが,とても異色なSFだ。確かに空想科学が軸になっていながら,描かれている内容は人間の心の本質に迫り,人間というもの,そして人間以外にまで膨らんだ頭脳の働きというものに迫る。冒頭の著者の前書き,翻訳者による後書きも,ほとんど物語の一部と思えるほど興味深い。チャーリィは私たちの隣人であり私たち自身なのだ。
 本書はSFという分類に留まることがない文学作品で,たぶん二度目を紐解けば,チャーリィの中に,自分の中に,違う心象風景が見えてくるであろうと思う。

アルジャーノンに花束を〔新版〕

アルジャーノンに花束を〔新版〕