六月の雪

緋色は雪の涙なり

Learn as if you will live forever, Live as if you will die tomorrow.
 
 
  

大きな森の小さな家 〜 シルバー・レイクの岸辺で

キャロラインの物語を読んだので,結局続けてローラを読んでいる。20回は読んだ本だが,最後に読んで20年くらい経っているので新鮮だし,インターネットの時代になって読むのは初めてなので,昔は調べようもなかった本の中の動植物を画像検索したり,インガルス一家が住んだ街のストリート・ビューを見たりしながら読めて面白い。あと,当然ながら子供の頃読んだ時とは物語を読む視点も異なっているので,物語から読み取れることも異なっていて,同じ本を読んでいるとは思えない。本は読み直してみるものだなと改めて思う。
 

大きな森の小さな家―インガルス一家の物語〈1〉 (世界傑作童話シリーズ)

大きな森の小さな家―インガルス一家の物語〈1〉 (世界傑作童話シリーズ)

 クワイナー家の物語を読んだので続きで読んだ。とうさん・かあさんとおじさん・おばさんたちの関係を把握しているので,以前より情景がよく見える気がした。
 キャロラインシリーズの『せせらぎのむこうに』で「からざお」を使って小麦を脱穀する方法が書かれていたので,それから20年くらいの時が過ぎ,新しく発明された脱穀機で脱穀する時代になっていたことが感慨深かった。
 この本ではかあさんは大西洋側の東部で生まれ,結婚前はとてもお洒落で洋裁店で服を仕立てさせてばかりと書かれていたのでずっとそう思っていたが,大西洋側の東部で生まれたのはかあさんのかあさんであるシャーロットで,かあさんはブルックフィールドで生まれ,ミルウォーキーの大学へ行ったときにジェーンおばさんに連れて行ってもらうまで服を仕立屋で仕立てたことなどなかったのだった。ダンスで着た素敵なモスリンの服はその時の服ということなので,それ以降キャロラインはそれ以上のドレスを仕立てる機会はなかったのだろうと思われる。
 
大草原の小さな家―インガルス一家の物語〈2〉 (世界傑作童話シリーズ)

大草原の小さな家―インガルス一家の物語〈2〉 (世界傑作童話シリーズ)

 ウィスコンシンペピン湖近くの家を幌馬車で出発し,インディアンの住む大草原へ旅をし,オクラホマ州のインディアン・テリトリーで送った1年間の開拓生活で起こったあれこれ。シリーズの中でも特に丸太小屋や暖炉,井戸など土木関係の物語に詳しい。またインディアンとの関わりや当時の白人のインディアンへの感情もしっかり書かれており,巻末に解説も載っている。
 他の物語と同様に実際のインガルス一家の行動とは多少異なっている。実際のインガルス一家は1869年〜1870年にカンザス州のインディペンデンスから20kmの場所に開拓小屋を建てて暮らし,キャリーはここで生まれ,このあと再び「大きな森」へ帰っている。
 
プラム・クリークの土手で―インガルス一家の物語〈3〉 (世界傑作童話シリーズ)

プラム・クリークの土手で―インガルス一家の物語〈3〉 (世界傑作童話シリーズ)

 ローラ7歳〜8歳。
 この物語を最初に読んだ小学生の時,ペットとパティとバニイが行ってしまう場面があまりに悲しくてそのまま物語の中に引き込まれた。初めての板作りの家や学校,ネリー・オルソンとの出会い。クリークに流されそうになったり,ヒルにとりつかれたりする冒険心溢れたローラだが,大きな森のクリスマスの日からずっと布人形のシャーロッテを心から大切にしている一面も持っていて共感できたものだ。最も印象的だったのは恐ろしいイナゴ陽気(グラスホッパー・ウェザー)のこと。あっという間にやってくるミネソタの吹雪や,雪の中で3日も過ごしたとうさんのことも忘れられないエピソードで,本当に印象的な話が目白押しな1巻だと改めて思った。
 キャロラインの物語を読んだ後なので,キャロライン苦労するなぁと思いながら読んだ。一家がミネソタ州のウォルナット・グローブに住んでいた頃の話が基になっている。
 
シルバー・レイクの岸辺で―インガルス一家の物語〈4〉 (世界傑作童話シリーズ)

シルバー・レイクの岸辺で―インガルス一家の物語〈4〉 (世界傑作童話シリーズ)

 ローラ13歳。ローラととうさん以外のみんなが猩紅熱にやられメアリイは失明。どん底の一家を訪ねてきたのは,キャロラインの物語ではまだ小さかった,大きな森のカエデ蜜ダンスの時は素敵な服でお洒落をしていたドーシア。大きな別れを経験し,一家は西部へ旅立つ。
 シルバー・レイクの岸辺はとうさんとかあさんの最後の地だが,ローラととうさんは本当は西部へ行きたくて仕方がない。ヘンリイおじさんとポリィおばさん,いとこのチャーリーとルイザの家族はウィスコンシンの農場を売って春になったら幌馬車でモンタナへ向かうし,ドーシアおばさんとハイおじさん,レナとジーンは行き先もわからない西部へ旅立ってゆく。ただ,娘たちに学校へ行く機会を与えるという遠い日のとうさんとかあさんの約束が,一家をダコタ・テリトリーに留まらせる。ローラが教師の職に就くことを否応ながらも決意するのもこの頃。キャロラインが娘たちに学問をさせるために西部へ行くことを拒否するのは,彼女の生い立ちを考えると当然のことのように思われる。だが,キャロラインが心から教師の職に就きたかったのに対しローラは違うので,ローラがどれほど苦しかったかもわかる。一家にはメアリイを盲人大学に進学させたいという目標もできる。
 一家は鉄道の工事場で働いていたボーストさんと知り合いになり,とうさんはエドワーズさんとも再会する。
 北米のこのあたりでは,「西へ三度緯度がかわるのは、南へ一度と同じ」と言うらしい。鳥たちもバッファローもインディアンもいなくなったダコタ・テリトリーに新しくできる町,ドゥ・スメットの最初の入植者として一家は開拓農地の小屋に落ち着く。