『大草原の小さな家』シリーズのその後。ローラの娘,ローズ・ワイルダー・レインの養子によって書かれたローズの子どもの頃の物語。
『大草原の小さな家』がドラマ化される以前の日本ではまだメジャーでなかった頃からローラの本が好きだったので,ローラやローラの家族を知るためには,彼女のベースを築いたキャロラインのシリーズをどうしても読んでおきたかった(クワイナー家の物語)し,ローラの一家がその後どんな時代を生きたのかを知るためにローズシリーズも読んでおきたかった。
ローラ・インガルス・ワイルダーが出版した本は9冊だけなので,これらの付随するシリーズは勿論作者が異なっているし,それは読んでいても世界を見る視点が異なっていることを感じてわかる。またキャロラインやローズ本人が書いたものでもないから事実とは異なる部分も増えているだろう。しかしできる限り事実に忠実に物語を構成しようと努力された本だけあって,これらを踏まえた上で続きとして読むことに違和感は感じなかった。子どもの頃から好きだった物語を見届けさせてもらえてよかったと思う。
ローズシリーズには更に続きが2冊あるが,日本では未出版。6巻『ロッキーリッジの新しい夜明け』の翻訳本が出版されて来年で20年経つことを思えば,今後出版される希望もなさそうで残念だ。このシリーズは自分が死ぬまでに最後まで読んで安心したいと思うので,諦めて原書で読むことにし,とりあえず『On the Banks of the Bayou』を注文した。年内には届くので早速読み始めたい。英語の本は読むのにどうしても時間がかかってしまうのだが…。
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後半は農場を手に入れ最初の冬を迎える準備ができるまで。農場はローラによってロッキーリッジと名付けられ,近所の人たちとも知り合いになる。
ローラ・インガルス・ワイルダー作の小さな家シリーズと比べると文調が異なり,自然描写が今ひとつ詩的でない気がするし,服や食べ物の描写も乏しく物足りない気がする。ローラシリーズを全冊通して20回は読んでいる私には別のシリーズだという感じは否めないが,別のシリーズだと思って読めば問題ない。開拓少女として育ったローラが母となり,その後をどうやって過ごしたかがわかって興味深い。
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新しい料理用ストーブの一件で,ローラってけっこう面倒な性格な人なのだなと思った。『大草原の小さな町』で学校から帰されたローラそのままだ。
学校に行きたくないローズ。ローズが学校の文庫から最初に選んだ本『革脚絆物語』を読んでみたい。
ただ,2冊目を読んでもローズがどんな人なのか今ひとつわからない。本人が書いたローラシリーズはもちろん,キャロラインシリーズでもキャロラインがどんな人物なのか生き生きとわかったのだが。
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恋仲という大人の世界,自分のロバやに新しい家の自分の部屋,嘘をつく恐ろしさ,クリスマスプレゼントのそりなどなど,大人に向かって人生も仕事も新しいことだらけ。
夏の日差しから樹皮を守るためにリンゴの幹の地面から最初の枝までにしっくいを塗るなんて初めて知った。暖かい日に激しいしごとをした時にはスウィッチェルを飲んでいたそうだ。蜂の巣を引っ越しさせる話が面白かった。
1896年,ユタ州が45番目の州として合衆国の仲間入りをした独立記念日の夏の終わりまで。
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線路の続く地平線の向こうへ思いを馳せるローズ,豚のしまつ,タモシャンター帽,クロウ先生。願いのかなう本。ブランチの誕生日パーティ。竜巻サリー。おじいちゃんとおばあちゃん。列車の転覆事故。雨の春と日照りの夏と火事。そして丘のむこうへ。
少女時代を終えて少しずつ大人になってゆくローズ。
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ポールは電信技師となって遠くの町へ。ブランチもマウンテングローブ・アカデミーへ進学してマンスフィールドを去った。ローズは忙しく過ごしながらも年頃の娘としての好奇心を抑えられず,ロイスの妹のエルサとこそこそ計画を立てて両親を心配させたり,お金のかかる進学で悩んだり。
懐かしく悲しいローラのデ・スメットへの帰省。「飲みかけのリンゴ酒の小びんちゃん」は「一ガロン入りのリンゴ酒の大びん。だれもまだ口をつけていないくらいの重いびん」になってとうさんの枕元に座る。ボーストさんやメリー・パオワー,キャップ・ガーランドのその後。
物語の最後でローズは16歳。将来についての相談相手であるブランチは甚だしく精神的成長を遂げていて,教育と環境はここまで人を作り替えるのかと驚く。望みを失ったローズの前に,相変わらず我が儘と比類希なる魅力を併せ持ったイライザ・ジェーンが登場する。
ローズの物語はこの後『On the Banks of the Bayou』と『Bachelor Girl』の2冊が出版されているが,日本語訳はこれでお終い。残念だ。原書入手の機会があったら読んでみたい。またローズ自身が書いた自伝的小説『わかれ道』は谷口 由美子訳で出版されているので,そのうち読んでみたい。