5編の短編集+田中芳樹インタビュー。
帝国と同盟の最初の戦闘の物語『ダゴン星域会戦記』,帝国軍幼年学校を卒業したばかりで15歳だったラインハルトとキルヒアイスが赴任先の惑星で味方の陰謀から生還した物語『白銀の谷』,自由惑星連合のイゼルローン要塞への第五次遠征隊の舞台裏の更に裏での物語『黄金の翼』。連合側には25歳のヤン少佐がおり,イゼルローンには16歳のラインハルト・フォン・ミューゼル少佐とキルヒアイス中尉。二人はまたしても陰謀の最中。ラインハルトには大佐だったレンネンカンプとの出会いも。
次は,17歳のラインハルト・フォン・ミューゼル大佐がキルヒアイスを伴って軍の幼年学校で起きた殺人事件の捜査をする物語『朝の夢、夜の歌』。最後は,もうすぐ大佐になるキルヒアイスが休暇中の惑星で巻き込まれた麻薬捜査の物語『汚名』。
主にラインハルトとキルヒアイスの『銀英伝』以前の物語で,二人が如何に手を取り合って並々ならぬ困難を乗り越えていったかが描かれている。キルヒアイスを失うということがラインハルトにとってどういったことであったのか,これを読む前は想像力が足りていなかったことを痛感させられるエピソードの数々だ。
最後の約80ページに及ぶ田中芳樹ロングインタビューは,物語は中に入り込んで読みたい,外から傍観者として見ていたくない,故に著者のインタビューなど興味ない,そうアニメなんかも声優には黒子でいて欲しい,と思う私にしては実に珍しくとても面白かった。著者がどんな風に物語を組み立て,登場人物達を動かしていったか,銀英伝に関しては興味を抱かずにいられないということなのか。
ドイツ系の名前は女性に受けないらしい。そうなんだ? 堅苦しい品格が感じられて私は好きだな。
ヤンとラインハルトどちらが好きかなどと言う質問は私はくだらないと思っているのだが,確かにヤンは私が知っている人の間でも人気で,それはちょっと不思議。同盟の人たちは楽しそうで和むのだけど,私はあそこにはなじめないかもしれない。私はけっこう帝国の人たちが好き。一番気にかけていた登場人物はメルカッツのような気がする。
外伝を読み終わったのでもう一度本編を最初から読みたいけれど,またの機会に。銀英伝は何故か秋に読みたいから。
- 作者: 田中芳樹,星野之宣
- 出版社/メーカー: 東京創元社
- 発売日: 2009/06/25
- メディア: 文庫
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