六月の雪

緋色は雪の涙なり

Learn as if you will live forever, Live as if you will die tomorrow.
 
 
  

昔気質の一少女

 この本を最初に読んだのは中学生の時だと思うが,小学生向けに翻訳された『美しいポリー』という表題でだった。ポリーの人柄に惹かれてすぐに原作により近いと思われる文庫本を捜しだし(ネットもない時代にどうやって調べたのだろう?)読みふけった。特に第二部になると中学生の知識では少々難しい内容の部分もあったのだが,それはあまり問題にならなかった。
 
 愛情と分別をたっぷり持った母親にのびのびとした田舎で育てられた14歳のポリーが,ふとしたきっかけで知り合って仲良くなった年上のお友達,ボストン社交界の令嬢ファニー・ショーの家に遊びに来るところから始まる。澄んだ心を持ち,正直者で活発で,人の心を惹きつけずにはいられない魅力を持つ彼女はショー家の人に愛され訪問を終える。そして6年の月日が流れ,ボストンで働くことになったポリー。
 ポリーはもちろんのこと,ファニーと彼女の弟トム,妹モード,優しいおばあさまとショー氏,誰もが何十年の時を経ても二度と忘れられない登場人物だった。もう一度彼らに会いたい会いたいとずっと思い続け,実家から古い文庫本を探し出してきてようやく再び読む機会を得たのだったが,中学生の時と変わらぬ熱心さで読み通してしまった。当時は持っていなかった社会や歴史の知識が面白さを補ってくれたことも嬉しく思う。
 今と昔があるかぎり「今の若い女の子は」という言葉は永遠に語られ続ける。ただ本当に美しい誠実な魂が古びてしまうなどということは決して起こらないだろうと思う。

美しいポリー (少女名作シリーズ 24)

美しいポリー (少女名作シリーズ 24)

昔気質の一少女 (1968年) (角川文庫)

昔気質の一少女 (1968年) (角川文庫)

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