六月の雪

緋色は雪の涙なり

Learn as if you will live forever, Live as if you will die tomorrow.
 
 
  

U・ボート ディレクターズ・カット

 
10年くらい前に見た『U-571』を思い出しつつ気軽に見始めたのだが,あまりにも救いがないラストに見終わってしばらく呆然としてしまった*1。そもそも『U-571』は戦勝国アメリカが作った映画,こちらはドイツ人が実体験を元に製作した映画。Uボートが出てきて第二次世界大戦が舞台である,共通点はそれだけだ。
特にストーリーらしきものはない。潜水艦の乗組員は地上で最後の乱痴気騒ぎをやって出港する。艦長や機関長など主たる乗組員を除くと若い水兵ばかりで,艦長は少年十字軍だと言う。同乗している従軍記者ヴェルナー少尉が彼らの記事を書いたら,それを読んだ英国人は,自分たちは子供と戦っているのかと驚くだろうと。
大西洋へ出て行った彼らは,敵が沈むのを目の当たりにし,目の前で何度も爆雷が破裂する中を修理をしつつ何とか生き延び,自殺行為の無謀な命令にやむなく従い,予想通り撃沈寸前な目に遭い,あわや全員窒息死しそうになる。彼らのことを記録してゆくヴェルナー少尉。
原作者ロータル=ギュンター・ブーフハイムが,U96に同乗して取材した経験を基に作られた映画ということなので,ヴェルナー少尉の視点が原作者ということになる。この通りではなかったにしろ,これが「深海の英雄」「灰色の狼」たちの現状だったということだろう。出撃した船の4分の3は帰らなかった。
 

*1:比べるのもどうかと思うけれど,Zガンダムを見終わった時の絶望感を思い出した。