ヤンがエル・ファシルの英雄として名を馳せた直後、23歳の少佐だった頃の物語。キャゼルヌは中佐で婚約中、アッテンボローは士官学校4年生。
同盟軍の圧倒的勝利で終わった第二次ティアマト会戦の司令官で伝説的な英雄であるブルース・アッシュビーの戦死にまつわる謎を調べることになったヤンは、「七三〇年マフィア」と呼ばれたアッシュビーの幕僚たちの最後の生き残りであるアルフレッド・ローザスと出会い、また半年間赴任した惑星エコニアにて、捕虜として人生の大半を送った帝国軍の老人ケーフェンヒラー大佐に出会う。歴史家志望だったヤンは老人達の話を聞いて色々考察する。
エコニアではヤンの生涯において非常に重要だった二人の人物との出会いがある。一人はヤンと死までを共にしたパトリチェフ大尉、もう一人はヤンの死後もヤン艦隊で非常に重要な役割を果たしたムライ中佐。
ヤンの活躍土壌が作られていく時代の物語とも言え、通じてキャゼルヌが当時からヤンにとって保護者とも言えるほど重要な存在であったことがわかる。こののちキャゼルヌによってヤンのもとへユリアンが送り込まれることを考えるとなおさらだ。石持浅海氏の後書き「人間としてのヤン・ウェンリー」には、「ヤンが活躍しないという、シリーズ中でも極めて珍しい物語」と書かれていた。
- 作者: 田中芳樹,星野之宣
- 出版社/メーカー: 東京創元社
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