六月の雪

緋色は雪の涙なり

Learn as if you will live forever, Live as if you will die tomorrow.
 
 
  

新世界より

全25話を通して一気に再鑑賞。原作を読み終えて,ようやく前回見落としていた逸話を見つけたり,呆然と見過ごした表現を味わったりすることができた。とてもよくできたアニメだと思う。原作を読んでいない者に理解しづらいという欠点は致命的なのかもしれないが,それでも。アニメがあふれかえるこの時代,長い時間をかけて2回目を見ようと思わせるアニメは私にとってそうそう存在しない。しかし,もしかしたら『新世界より』は3回目を見ようと思うかもしれない。
日本人ならきっと懐かしいと思うような風景がたっぷり盛り込まれた絵柄は美しく,陰影を持たない人物の描き方は物語によく似合っており,日本文化を継承しているようなしていないような古代のような未来のような服装や習慣,家並みや調度品はそれだけ取り出しても興味深い出来。1班の子ども達の個性も非常にしっかり描かれているため,人物の把握が苦手な私でも一人一人を自分の友人であるかのように区別できたことは,物語に入り込む手助けになった。早季はある意味非常に女の子っぽい浅はかな部分を持っている。が,その激情を沈めたらとことん強い意志で行動できる冷静さを取り戻す。頭脳明晰で勘も鋭く早季とは異なる場所で冷静さを保つ覚はとても頼りになる存在。どちらもとても魅力的で,彼ら二人にもう一度会いたかったから25回に及ぶ長い物語をもう一度見たわけだが,物語の最後まで瞬と真理亜と守の存在感が薄れなかったことも凄いと思う。原作では男の子だった「悪鬼」がアニメでは女の子になっていたのは何か視覚効果を狙ったものなのだろうか。
神栖66町がその後どのように歩んでいくのか想像の余地を残して物語は終わるが,呪力などという力がもし存在することになったら,この物語とは違ったどんな世界が構築可能なのだろう。
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