六月の雪

緋色は雪の涙なり

Learn as if you will live forever, Live as if you will die tomorrow.
 
 
  

乙嫁語り

『エマ』森薫さんの次の物語。相変わらず作画ディテールが凄い。

乙嫁語り 1巻 (BEAM COMIX)

乙嫁語り 1巻 (BEAM COMIX)

19世紀、カスピ海周辺のコーカサスが舞台。民族衣装や家の中の調度品など見応えがあり美しい。主人公のアミル・ハルガルは20歳で,12歳のカルルク・エイホンのもとへ嫁ぐ。カルルクのエイホン家は定住だが,アミルの家族は冬だけ定住の遊牧生活。アミルは兎も狐も弓でしとめて自分でさばき料理をする逞しさを持つが,まだまだ初々しい20歳の女の子。衣装のほか19世紀中央アジアの暮らしなど興味深く,アミルは魅力的な子なので続きが楽しめそう。


乙嫁語り 2巻 (ビームコミックス) (BEAM COMIX)

乙嫁語り 2巻 (ビームコミックス) (BEAM COMIX)

パンを焼く竈でアミルにパリヤさんというお友達ができる。前巻から始まっていたアミルの実家との争いはとうとう本格的なものとなり、しかしそれをきっかけにカルルクとアミルの絆はさらに深まり夫婦らしく。カルルクの姉の子ティレケの刺繍と布の話が一番好きだった。一族の思い出と歴史が詰まった刺繍や布。それを大切に受け継いでいく心。今も残っているのだろうか。言葉少なく絵で語っていく森薫さんの手法が最大限に活かされた物語だと思った。


乙嫁語り(3) (ビームコミックス)

乙嫁語り(3) (ビームコミックス)

エイホン家を出てアンカラへ向かったスミスさんの物語。ロシアが中央アジアへ勢力を伸ばす不穏な社会情勢のもと,英国人スミスさんを待ち受ける危険と出会い。実家との絶縁という不幸にあいながらもアミルはカルルクと幸せな結婚生活なわけだが,結婚に恵まれなかったタラスという女性の話が語られる。父親の権力が絶対だったと思われ,厳しい自然環境の中では社会の掟に従って生きていくことが必要で,それを当然と受け入れて生活していくとはこういうことなのだ。パリヤさんが可愛すぎる。彼女が出てくるととても楽しい。幸せな結婚ができるとよいのだが。