ハインラインの『夏への扉』を読んだのは1987年7月のこと。読み終わった瞬間に再び最初のページをめくってそのまま最後まで読み進んだSF小説は,たぶん後にも先にもこの1冊だけだったと思います。それほどまでに痛快で,楽しかった。だから,その後,「難しいのはダメだけどSFというものを読んでみたい」というような相談を受けた時は,迷わずこの本を薦めてきました。
読後に『夏への扉』のことを思い出したのは,本書が同じタイムトラベルものであったこと以上に,『夏への扉』を読み終えたときと甲乙つけがたい爽快さが残ったからだと思います。