六月の雪

緋色は雪の涙なり

Learn as if you will live forever, Live as if you will die tomorrow.
 
 
  

終末なにしてますか? 忙しいですか? 救ってもらっていいですか?

終末もの大好きなので以前から気になっていたところ,完結したようなので読み始めたら,途中でアニメ化の情報。
最初の方は終末ものというよりファンタジーものって感じで読んでいたのだが,3巻あたりからどうしようもなく終末ものな読後感になり,ついでに読み進むのを止められなくなった。ネフレンを好きすぎたからかもしれないし,黄金妖精たちの前世にとりつかれたせいだったかもしれないし,クトリが好きではなかったからかもしれないし,ヴィレムのバターケーキに憧れたからかもしれない。たぶん生きてもいない黄金妖精たちが生き生きしすぎて魅力的だったのだろう。大人と子供がバランス良く登場するのもよかった。
物語に入り込み過ぎて他のことが何も手につかないので,このまま第二部を読み進もうと思う。
 

人類が滅びた500年後,耳は尻尾を持つ種族が空の上の島で暮らす世界に最後の人間として復活した元準勇者のヴィレムは,友人の口利きで武器管理倉庫の管理人として就職する。書類上は研究職の軍人ということになっている。そこで管理されている武器とは少女の姿をした妖精兵だった。
ことに大きな事件が起こるともなく,かといって日常系でもなく,終末らしいかというとそうかもしれないけれど,今ひとつ。登場人物達はいたって普通の日常を過ごしている。でもつまらないわけではなくて,最後までするすると読んでしまった。
 戦闘に出かけたまま帰って来ないクトリ・アイセア・ネフレンの3人。彼女らを夢にまで見て帰りを待つヴィレム。ティアットの成長。前世の浸食。500年ぶりの再会。「おかえり」の約束。
ヴィレムがかつてどんな準勇者だったのかを垣間見る巻。妖精たちがどんな存在であるかを垣間見る巻。今の世界が何々かを垣間見る巻。
 成体妖精兵のノフトとラーントルクが初登場。浸食によりクトリの髪は赤くなってゆく。新たに見つかったナヴルテリの聖剣ラピデムシビルス。えるく? 星神エルク・ハルクステン? 墜落した調査隊と救助隊。氷付けの呪われた少女の遺体とクトリ。落ちてゆくネフレン。ヴィレムの故郷。クトリの最後の願い。
 夢の国のヴィレムとネフレン。純位聖剣ラピデムシビルスの使い手ラピデムシビルス。真界再想聖歌隊(トゥルー・ワールド)が活動開始した時代。バターケーキで迎えないアルマリアの夢。ネフレンとアルマリア。月に嘆く最初の獣(シヤントル)の正体。バターケーキ,バターケーキ,バターケーキ。ヴィレムとネフレンの夢の果て。
読み終わった最初の感想は「あぁ何と救われないのだろうか」だった。
 リーリアとエルク。エルクと妖精たち。空魚(カーマインレイク)とネフレンと左目。黒髪の獣。ニルスとエルクとびれむ。ラキシュの夢。ヴィレムの最後の愛とアイセアの種明かし。灰色の少女の涙。ニルスの最後の力とニルスの旅立ち。アイセアは知らない方がいいのだろうか,黒髪の青年と灰色の少女の行方を。青い髪のリィエル。帰郷。そう,帰郷。最後に「獣」の隣でヴィレムがニルスに言ったとおり「どいつもこいつも、ただ、帰りたかっただけ。取り戻したかっただけ」の物語だった。レンはどうしたのだろうか。

あたしらは、すべての浮遊島に住む普通のひと全員に、何も知らずにのほほんと日常を過ごしてもらうために、こっそり命を張ってるんすよ

「アイセアには長生きしてほしい」が最後の感想だった。