長きに渡る『狼と香辛料』がついに完結と聞いて、既に忘れかけている最初の頃から物語をたどってみようと、サイドストーリーを除き、1巻からまとめて読み返した。それだけの時間を費やすに値する物語だと思う。著者の支倉凍砂氏(URL)は立教大学の理学部物理学科出身ということで、経済学の専門家ではないし、宗教や歴史畑の出身者でもない。にもかかわらず、そういう分野を専攻したとしか思えない詳細な記述が多々見られひたすら感心していたのだが、太陽の金貨(下)の後書きによると、やはり専門書がベースになっていたとのこと。私ならそんなものを読んで理解するだけで力尽きて創作の時間がなくなるだろう(^^;。
物語にはホロのような精霊と言われる存在が色々出てきたが、その中にヒトはおらず、しかも人ならざる存在の彼らが人の形をとったりするところを見ると、この物語の世界でヒトは特別な動物ということになるだろう。ホロが「若き狼」と呼ばれるくだりがあったが、ホロはその存在としては本当に見かけ通り十代の少女に相当する若さのかもしれない。とすると、彼らは何千年も生きるのだろうか。
それにしても、ロレンスとホロ、螢一とベルダンディー(ああっ女神さまっ)、アラゴルンとアルウェン(指輪物語)、私が知る物語の中ではいつも、長い生ゆえに愛する者を見送って孤独に延々と生きていかねばならない運命は女性のもの。まぁわかる気がしないでもないが、私がそういう存在ではなくて本当に良かった。
以下、各巻の覚え書きと感想。
- 作者: 支倉凍砂,文倉十
- 出版社/メーカー: メディアワークス
- 発売日: 2006/02
- メディア: 文庫
- 購入: 18人 クリック: 471回
- この商品を含むブログ (744件) を見る
- 作者: 支倉凍砂,文倉十
- 出版社/メーカー: KADOKAWA/アスキー・メディアワークス
- 発売日: 2006/06/10
- メディア: ペーパーバック
- 購入: 8人 クリック: 117回
- この商品を含むブログ (385件) を見る
- 作者: 支倉凍砂,文倉十
- 出版社/メーカー: KADOKAWA/アスキー・メディアワークス
- 発売日: 2006/10/10
- メディア: ペーパーバック
- 購入: 6人 クリック: 62回
- この商品を含むブログ (311件) を見る
- 作者: 支倉凍砂,文倉十
- 出版社/メーカー: KADOKAWA/アスキー・メディアワークス
- 発売日: 2007/02/10
- メディア: ペーパーバック
- 購入: 5人 クリック: 75回
- この商品を含むブログ (259件) を見る
- 作者: 支倉凍砂,文倉十
- 出版社/メーカー: メディアワークス
- 発売日: 2007/08
- メディア: ペーパーバック
- 購入: 2人 クリック: 252回
- この商品を含むブログ (243件) を見る
- 作者: 支倉凍砂,文倉十
- 出版社/メーカー: KADOKAWA/アスキー・メディアワークス
- 発売日: 2007/12/10
- メディア: ペーパーバック
- 購入: 9人 クリック: 90回
- この商品を含むブログ (238件) を見る
- 作者: 支倉凍砂,文倉十
- 出版社/メーカー: アスキーメディアワークス
- 発売日: 2008/05/10
- メディア: 文庫
- 購入: 8人 クリック: 91回
- この商品を含むブログ (194件) を見る
- 作者: 支倉凍砂,文倉十
- 出版社/メーカー: アスキーメディアワークス
- 発売日: 2008/09/10
- メディア: 文庫
- 購入: 9人 クリック: 69回
- この商品を含むブログ (186件) を見る
再読2011年7月5日:最初から最後まで気を抜けない1巻。社会の複雑さとこの世界の商人たちの恐ろしさ・逞しさを嫌と言うほど見せつけられる巻でもある。3人の中でのコルの立ち位置は次第にはっきりしてくると同時にロレンスとホロの関係も落ち着いた感じがする。エーブは最後まであまりにも魅力的だった。エーブに乾杯&farewell!
- 作者: 支倉凍砂,文倉十
- 出版社/メーカー: アスキーメディアワークス
- 発売日: 2009/02/01
- メディア: ペーパーバック
- 購入: 11人 クリック: 39回
- この商品を含むブログ (172件) を見る
再読2011年7月13日:3人はキーマンとエーブ連名の信用書を持って海峡を渡り,エーブの故郷ウィンフィール王国へ渡る。雪深いこの島国のブロンデル修道院にホロが探す狼の骨があるらしいという。財政的に逼迫したこの国では外貨が高い価値を持ち,修道院は名高いルウィック同盟に狙われていた。この同盟のピアスキーに修道院までの道案内を頼むが,ピアスキーはなかなかの好人物。修道院近くで宿に困り,羊飼いハスキンズの家に寝泊まりすることになるが,ハスキンズはホロと同類だった。ハスキンズから見ればホロなど若造で,ハスキンズとホロの会話が面白かった。
- 作者: 支倉凍砂,文倉十
- 出版社/メーカー: アスキーメディアワークス
- 発売日: 2009/08/10
- メディア: ペーパーバック
- 購入: 9人 クリック: 69回
- この商品を含むブログ (126件) を見る
再読2011年7月17日:港町ケルーベへ戻った3人はハスキンズに紹介された絵画商ユーグを訪ね、更にユーグの口利きで北の地図を描くことができる銀細工師フラン・ヴォネリに会う。地図を描く条件として天使伝説を追いかけるフランに付き添い、タウシッグの村へ、そして山小屋へと向かう一行。天使の伝説の種明かしは見事だった。ロレンスはホロと旅を続けるうちに随分と度胸をつけたのではないか。元来頭が良かったのだろうが、その働かせ方も研ぎ澄まされてきた感じ。
- 作者: 支倉凍砂,文倉十
- 出版社/メーカー: アスキーメディアワークス
- 発売日: 2010/02/10
- メディア: 文庫
- 購入: 16人 クリック: 113回
- この商品を含むブログ (94件) を見る
再読2011年7月23日:羊のユーグに見送られ3人はレノスへ戻る。フランの紹介で雑貨商フィロンを訪ね、そこでテレオの教会を守っていたエルサに再会。エルサを案内していた書籍商ル・ロワに頼まれ、再び奴隷商デリンク紹介と関わることになる。エルサの魅力が全開。ホロに石頭と呼ばれる彼女だが、親しくなればこれほど心強い友となる女性もいないだろうと思われた。
- 作者: 支倉凍砂,文倉十
- 出版社/メーカー: アスキー・メディアワークス
- 発売日: 2010/09/10
- メディア: 文庫
- 購入: 6人 クリック: 234回
- この商品を含むブログ (81件) を見る
- 作者: 支倉凍砂,文倉十
- 出版社/メーカー: アスキーメディアワークス
- 発売日: 2011/02/10
- メディア: 文庫
- 購入: 5人 クリック: 400回
- この商品を含むブログ (89件) を見る
- 作者: 支倉凍砂,文倉十
- 出版社/メーカー: アスキーメディアワークス
- 発売日: 2011/07/08
- メディア: 文庫
- 購入: 5人 クリック: 327回
- この商品を含むブログ (80件) を見る