六月の雪

緋色は雪の涙なり

Learn as if you will live forever, Live as if you will die tomorrow.
 
 
  

本の記録(2020-06)

 『やがて君になる』のBlu-rayを買って見直して,『やがて君になる 佐伯沙弥香について』を読み終えたので,コミックで『やがて君になる』の復習をした。読むのは3回目くらいだと思うが,今回は沙弥香に注目しながら読んだので違った側面を色々見つけた感じ。

 その後,ハヤカワのKindleフェアで随分前に買っていた『異世界ピクニック』シリーズに着手。これはラノベでもSFでもなく,強いて言えばネット世界版『遠野物語』だと思う。遠野物語が怖いように裏世界ピクニックも怖い。

 怖い流れで,『夜が明けたら』も読み返した。再読だがやっぱり怖い。短編集で,表題作と最後の作品は一応SFの範疇かと思うが,他はみんなホラー。小松左京といえばSFと思ったら大間違いなのだ。
 怖さついでに,現在『遠野物語』を丁寧に読み返している。

6月の読書メーター
読んだ本の数:14
読んだページ数:2662
ナイス数:65

夜が明けたら (文春文庫)夜が明けたら (文春文庫)感想

 表題作『夜が明けたら』は,当然であることを疑いもしていなかった日常が来なくなる可能性が描かれているということで,COVID-19による日常生活の崩壊と少し似ている気がして読み直した。

 『森の海』『ツウ・ペア』『真夜中の視聴者』『葎生の宿』『秘密』の5作品はホラーで,主に呪いにまつわる物語。再読でも怖い。

 『長い部屋』はSF×推理で,物理学者の宮原博士が殺された部屋のトリックを解く物語。宮原博士の専門は力場,特に重力場・磁力場。最近,ブラックホールの空間曲率の論文を発表したところだった。

読了日:06月28日 著者:小松 左京
裏世界ピクニック4 裏世界夜行 (ハヤカワ文庫JA)裏世界ピクニック4 裏世界夜行 (ハヤカワ文庫JA)感想

 裏世界のターゲットが空魚になり,百合色が強くなった巻。

 「くだん」との出会いを皮切りに,裏世界は空魚に干渉し始める。「くだん」は人の顔と牛の体を持つ怪異。空魚は行く先々で面倒事に巻き込まれ,部屋に帰れなくなったり,温泉で逃げ回ったり。市川夏妃に依頼していた AP-1改造が終わり,裏世界の夜の初体験。予行練習の日に現れた「テントの周りを回る足音」を,よくある山岳怪談と斬り捨てる空魚。本番はクリスマスイブからクリスマスにかけての夜で,空魚は「赤い人」と対峙する。物語の行く先があまり見えない巻だった。


読了日:06月22日 著者:宮澤 伊織
裏世界ピクニック3 ヤマノケハイ (ハヤカワ文庫JA)裏世界ピクニック3 ヤマノケハイ (ハヤカワ文庫JA)感想

 ぐるぐる回りながら時空を移動する展望台に,猿のような怪異と沢山の人間の歯,山手線の駅で鳥子を探し回る女に閏間冴月を崇拝する閏巳るな。

 クライマックスへ向かうのかまだまだ深みにはまるのかわからないが,ラスボスっぽい冴月の登場回数が増えてきた。カラテカちゃんはウザいしキモイと思う。小桜が一番まともな気がする。

読了日:06月19日 著者:宮澤 伊織
裏世界ピクニック2 果ての浜辺のリゾートナイト (ハヤカワ文庫JA)裏世界ピクニック2 果ての浜辺のリゾートナイト (ハヤカワ文庫JA)感想

 再びの「きさらぎ駅」を経て沖縄で「果ての浜辺のリゾートバイト」,腕が6本下半身は蛇の「姦姦蛇螺(かんかんだら)」に,二本足の猫の忍者。子供と女性を呪い殺す「コトリバコ」との遭遇。

 怖いと言いつつ空魚は怪異の捌き方がすっかり上達し鳥子との冒険を楽しんでいるように見えるが,鳥子に執着しすぎて面倒くさい。冴月が所属していたDS研究奨励会では,裏世界のことを,UBL=ultra blue landscapeと呼んでおり,巻末の参考文献によると「青色」にもモチーフがあるとのこと。

読了日:06月17日 著者:宮澤 伊織
裏世界ピクニック 1巻 (デジタル版ガンガンコミックス)裏世界ピクニック 1巻 (デジタル版ガンガンコミックス)感想

 この本をカテゴリーに分類するのは難しい。まぁハヤカワ文庫だし…ということでSFにしたが,本当のところSFではないし,ファンタジーでもないし,ラノベでもない。「くねくね」に「八尺様」「時空のおっさん」などネット版の遠野物語というい感じ。

 遠野物語が怖いように,裏世界ピクニックも怖い。人間の恐怖をサブカル物語の皮を被って考察する。怖い話は最後まで聞かないと怖いので止められないように,裏世界ピクニックも止められない。人間の恐怖耐性はセロトニントランスポーター遺伝子により遺伝で決まっているとは知らなかった。

読了日:06月14日 著者:宮澤伊織,水野英多,shirakaba
やがて君になる(8) (電撃コミックスNEXT)やがて君になる(8) (電撃コミックスNEXT)感想

 自分の「好き」がどういうものだったか理解した侑。「でもわたしの「好き」はたぶんそうじゃなくて 自分で選んで手を伸ばすものだったよ(略)先輩がたくさん好きって言ってくれたから選べたんです わたしは先輩がわたしの特別だって決めました」 

 燈子を諦め,「あの子のこと大事にしてあげて」ときっぱり侑に託した沙弥香は,さっさと1番になる。要するに今までわざと2番をキープしていたのだろう。
 「特別だったあの日もあの瞬間も 今はずっと後ろにある そして 振り向けば行く舟を導いて輝いてる 灯台や星の光みたいに」

読了日:06月08日 著者:仲谷 鳰
やがて君になる(7) (電撃コミックスNEXT)やがて君になる(7) (電撃コミックスNEXT)感想

 変わった燈子と変わった沙弥香によって可能となった京都がハイライトだろう。皆が各々に「変化していく誰かを好きで居続けること」について考えている。
 好きということを沙弥香は言葉にする。「今のあなたじゃなきゃ嫌だってことではないけど どんなあなたになってもいいってことでもないと思う だからなんだろう…… あなたは私の好きなあなたでいてくれるだろうっていう 信頼の言葉かな」と。

読了日:06月08日 著者:仲谷 鳰
やがて君になる(6) (電撃コミックスNEXT)やがて君になる(6) (電撃コミックスNEXT)感想

 女子三人が各々大きく変化し始める巻。

 沙弥香は燈子から自立し始めてきたようだ。「私は燈子が失敗したっていいと思っているし いいじゃない別に たとえば舞台上で台詞を全部忘れたり お客さんの評判が散々だったりしても 私も周りの友人も そんなことで燈子を責めたり失望したりしない あの子はそれを一度思い知ってもいいと思うの」

 侑は劇の中の恋人の言葉を呟いてみる。「私だけがあなたの特別でいられたのに」と。燈子は初めて他人の心を考える。「これまで侑にどれだけの言葉を閉じ込めさせて どれだけの嘘をつかせてきたんだろう」

読了日:06月07日 著者:仲谷 鳰
やがて君になる(5) (電撃コミックスNEXT)やがて君になる(5) (電撃コミックスNEXT)感想

 水族館デートのあとの脚本変更。沙弥香は初めて燈子の希望を汲まない選択をする。

 「私は拒絶されるのを恐れた あの子の特別にはなれなくても 「特別でない大勢」の中の一番でいれたらいいと 燈子がいつか変わる日までその日をただ待って 私は恐れた 小糸さんは踏み込んだ……それを邪魔するなんて そこまで惨めにはなれないわよ」

 沙弥香は侑に燈子が好きだと,とてもすっきりした表情で話し「新しい脚本で劇を成功させましょう」と言う。吹っ切れた瞬間だろうか。

読了日:06月07日 著者:仲谷 鳰
やがて君になる(4) (電撃コミックスNEXT)やがて君になる(4) (電撃コミックスNEXT)感想

 沙弥香と侑の決定的な違いが描かれる巻。
 沙弥香は相手に会わせる。侑は相手を変えようと動く。

読了日:06月06日 著者:仲谷 鳰
やがて君になる(3) (電撃コミックスNEXT)やがて君になる(3) (電撃コミックスNEXT)感想

 沙弥香に注目しながら再読。

 燈子は沙弥香のことを随分と見誤っているのだなと思った。だから沙弥香には弱みを見せられない。侑を言葉で縛るのも,沙弥香が言うように燈子に余裕がないことの現れだなと思える。「あの子には人の好意を受け入れるだけの余裕がないんです」と言う沙弥香に対し,燈子の「沙弥香が私に要求するのは完璧な私だけ」というのはとても的外れだ。

読了日:06月05日 著者:仲谷 鳰
やがて君になる(2) (電撃コミックスNEXT)やがて君になる(2) (電撃コミックスNEXT)感想

 沙弥香に注目しながら再読。
 昨年の生徒会での珈琲の話,ミルクや砂糖の好みも沙弥香は興味が無い人のことは全く覚えないのが面白い。

読了日:06月05日 著者:仲谷 鳰
やがて君になる(1) (電撃コミックスNEXT)やがて君になる(1) (電撃コミックスNEXT)感想

 沙弥香に注目しながら再読。
 沙弥香は意外と表情豊かに嫌なときは嫌な顔をしているが,やるべきと思うことはキチンとやっている。

読了日:06月05日 著者:仲谷 鳰
かくしごと(2) (月刊少年マガジンコミックス)かくしごと(2) (月刊少年マガジンコミックス)感想

 2巻もアニメの範囲。姫は17歳箱から20歳箱を湘南の家で見つける。
 監禁とか新人賞の論評とか最近の印刷所とか犬のタイツとか。

読了日:06月02日 著者:久米田康治

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