六月の雪

緋色は雪の涙なり

Learn as if you will live forever, Live as if you will die tomorrow.
 
 
  

冴えない彼女の育てかた 8〜13 ・ Girls Side 1〜3

 3月のファンブック発売前に全巻読んでおかないと…ということで,後半を一気に読むことにした。Girls Sideをどこに挟めばいいか調べるの面倒だったので後からまとめて読もうと思っていたのだが,12巻を読み終えた時点で,作者がどうしてもGSの3巻を13巻の前に読んで欲しそうだったので,本編12巻まで読んでGSの1〜3巻を読み,13巻を読むという変則的なことになってしまった。GS含め全16巻。Kindleにするか大邸宅に住むかでないとやってられないね。もちろん大邸宅の選択肢は存在しない。
 

英梨々と詩羽が抜けた新生 blessing software の始動。加藤はちょっとめんどくさいキャラになった。出海は予想通り。出海の兄,波島伊織が意外に活躍。恵と仲直りしたいと悩む英梨々。そしてそんな彼女のプロの仕事。
  英梨々の新しい仕事を見てからの恵と出海。出海のスランプ。英梨々ルートと英梨々&恵の仲直りの行方。
  よくある沖縄で夏合宿!?あー違いましたか…って感じで,英梨々に続いて詩羽先輩ルート。才能の開花に苦しむ詩羽先輩と詩羽先輩を崇拝し続ける倫也君。恵さんは意図して空気という感じ。
  倫也のスランプ&メインヒロインルート。どんどん恵にフラグが立っていくというか,何がヒロインなんだか恵なんだかわからなくなっていく? 美智留も出海もあんまり好きじゃないけど,さすがにこの扱いは可愛そうな気がした。
  紅坂朱音が倒れ倫也またしても裏切り。恵もう倫也なんぞ捨てるべきだと思うぞ? 倫也がいきなりフィールズクロニクルを手伝うとか無理ありすぎな気がして萎えたのだが,まぁ無理がありすぎなのは全体的になので考えないことにした。作者が次はガールズサイド3を読んで欲しいらしいので,本編最終巻は後回しにして先にガールズを読むことにする。
  アニメ第2期『冴えない彼女の育てかた♭』で描かれた英梨々と詩羽の物語。これは絶対読むべきであると思える物語後半の礎ではないだろうか。今まで大嫌いだった霞ヶ丘詩羽を好きになってしまった。伊織と紅坂朱音への理解も深まった。時系列で読まなかったのがちょっと残念。
  霞ヶ丘詩羽氷堂美智留お茶の水波島出海の復活と『恋するメトロノーム』の絵師,嵯峨野文雄。恵と英梨々の合宿。『icy tail』のコンサート。GSすごい。今度は美智留までが嫌な奴じゃなくなった。GSが凄いんじゃなくて倫也を嫌いなんだな私。そして恵がどんどん嫌な奴になっていってる気がする?
  倫也がサークルを放り出して恵を裏切って,そして恵が倫也の横に帰ってくるまで。本編12巻の後ろで起こっていた女の子たちの物語。全てに渡って大活躍だった詩羽先輩お疲れ様。コミュ障のくせに彼女の人間洞察力はすごい。天晴れだと思う。そして倫也には全く酷いくそ主人公だなと。詩羽の冴えない主人公,澤村・スペンサー・英梨々にどうかもっと幸せを。最高の幸せを。心臓を貫かれるほどやるせなくてもどうしようもないことって,それこそどうしようもないほど沢山あるのだ。
  この巻全体がエピローグだった…という印象。コミケあとの合宿の風景,そして倫也と恵が卒業したあとの『blessing software』のこと。作者があとがきに書いた通り,物語は完結してナンボなので,ほんと完結してくれてよかった。完結するの当然なのにダラダラ意味もなく続いたり途中消えたりする作品多すぎなのでつい。
 『blessing software』が作った『冴えない彼女の育てかた』をプレイしてみたいよね。柏木エリや出海ちゃんのイラストで。霞詩子が書いた『恋するメトロノーム』を読んでみたいよね。物語が終わってみたら,最初は一番嫌いだった詩羽のことが一番好きだった不思議。詩羽が倫也に恵は倫也のことを見くびっている,普通の男の子だと思っていると言っていたが,倫也も恵のことを詩羽や英梨々みたいに尊敬してないし(怖がってるけど?)おあいこだよね。くそ倫也に彼女ができて終わってしまったのが気に入らないけど,きっとそんな二人はお似合いなのでしょうよ。
 
 
 最後まで読んだし忘れられない作品ではあるけれど,私はこの作品の文章は本当のこと言ってイライラするほど嫌いだった。「〜で。」「〜な訳で。」で終わる文章がやたら多くて,そのたびにイライラした。口語的すぎて美しくないと思い,そんな文末に出会う度にストレスだった。章が変わる度に登場人物のどうでも良いみかけの描写,しかも毎回同じような?を読むのも苦痛だった。男性視点のラノベだし仕方がないのかもだけど,そのたびに「出るとこは出て」みたいに胸の大きさに言及するのもうんざりだった。私は基本的にはラノベ嫌いなのかもね。内容は面白いと思うから読むのだけど。この作品は典型的なヒロイン二人と普通の女の子を配置し,普通の女の子が選ばれたというある意味王道ストーリーなのに,主人公はクソなのに,本当に面白かった。文章が嫌いなことも主人公が嫌いなことも超越できるほどヒロインたちがとても魅力的だったのだと思う。
 
 そういうわけで文章と倫也は嫌いだったけど,冴えカノは楽しませてくれた良い作品だった。