六月の雪

緋色は雪の涙なり

Learn as if you will live forever, Live as if you will die tomorrow.
 
 
  

ホメロス オデュッセイア

 古代版の異世界モノって内容だが,登場人物が非常に多く,神々は勿論ギリシア神話に出てくる人間たちの名前も何代に渡って把握していないと内容をしっかり把握しながら読むのは難しい。下巻の巻末にまとめて固有名詞の事典があり,これを参照しながら読むにはKindleは今ひとつな使い心地だった。現代の日本人には馴染みが薄い地名や人名ばかりなので,できれば紙の書籍で最初から上下巻を手元に置いて,固有名詞の事典や注釈を熟読しながら読めれば理解の助けになったと思う。
 また,できればアキレウスを主人公とする『イーリアス』を先に読んだ方が理解しやすいと思う。
 兎にも角にも登場人物と地理を知らなすぎて訳が分からないことも多かったが,それでも総じて面白く読んだので,理解が深まれば物語の深さがわかり更に面白いのだろう。

ホメロス オデュッセイア 上 (岩波文庫)

ホメロス オデュッセイア 上 (岩波文庫)

 第12歌,アルキノオス王の宴におけるオデュッセウスの物語が終わったところまで。
 
ホメロス オデュッセイア 下 (岩波文庫)

ホメロス オデュッセイア 下 (岩波文庫)

 後半の12歌。アテナにより全てがおさまる。自分の屋敷で血の海になるほどの殺人を行っておいて,火で清めれば済むというのは凄い。アテナの計画でオデュッセウスを送り届けたというのに,ポセイダオンの怒りで石に変えられ砕かれてしまうパイエケス人,それあんまりでは? そうそう,どうして船という船は必ず「うつろな船」って呼ばれるの? 食事を終えることを「飲食の欲を追い払う」と表現するのも面白かった。最初,食事を前にして絶食しているのかと思った><
 身分ある人物ならば父の名を冠するとか,客人をゼウスから遣わされた者と理解することとか,物語の最初の方ではあまりに異なる文化にいちいち戸惑い訳が分からなかったが,かなり慣れたので読みやすくなった。叙事詩だからかもしれないが,人物や神に冠される形容句が一々大袈裟で凄い↓。