古代版の異世界モノって内容だが,登場人物が非常に多く,神々は勿論ギリシア神話に出てくる人間たちの名前も何代に渡って把握していないと内容をしっかり把握しながら読むのは難しい。下巻の巻末にまとめて固有名詞の事典があり,これを参照しながら読むにはKindleは今ひとつな使い心地だった。現代の日本人には馴染みが薄い地名や人名ばかりなので,できれば紙の書籍で最初から上下巻を手元に置いて,固有名詞の事典や注釈を熟読しながら読めれば理解の助けになったと思う。
また,できればアキレウスを主人公とする『イーリアス』を先に読んだ方が理解しやすいと思う。
兎にも角にも登場人物と地理を知らなすぎて訳が分からないことも多かったが,それでも総じて面白く読んだので,理解が深まれば物語の深さがわかり更に面白いのだろう。
- 作者: 松平千秋
- 出版社/メーカー: 岩波書店
- 発売日: 2014/12/18
- メディア: Kindle版
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身分ある人物ならば父の名を冠するとか,客人をゼウスから遣わされた者と理解することとか,物語の最初の方ではあまりに異なる文化にいちいち戸惑い訳が分からなかったが,かなり慣れたので読みやすくなった。叙事詩だからかもしれないが,人物や神に冠される形容句が一々大袈裟で凄い↓。
- 雲を集めるゼウス
- 大地を揺がすポセイダオン
- ゼウスの姫アテナイエ
- 眼光輝く女神アテネ
- アイギス持つゼウスの姫神パラス・アテナイエ
- 堅忍不抜の勇士オデュッセウス
- 度量宏きオデュッセウスの優れた子息
- ネストルの秀でた息子
- 誉れも高きメネラオス
- 神の如きオデュッセウスの愛児テレマコス