六月の雪

緋色は雪の涙なり

Learn as if you will live forever, Live as if you will die tomorrow.
 
 
  

四月怪談

 昭和51年〜58年の大島弓子さん短編集。「ローズティーセレモニー」「きゃべつちょうちょ」「ページワン」「四月怪談」「雛菊物語」「桜時間」「金髪の草原」の7話。
 『ローズティーセレモニー』は高校生の少女のひたむきな恋をエリュアールの詩の乗せて紡ぐ。『きゃべつちょうちょ』お兄さんのことが忘れられない男勝りの末子さんと転校生の物語。『ページワン』は安下宿の押し入れに住む病人と新しい住人の,とても変わっていてちょっと怖い交流の物語。表題作の『四月怪談』は映画にもなっているらしい。幽霊になってしまった女の子の物語。なかなか歯がゆい。『雛菊物語』は死にたがる菊子さんと彼女を見守る家族の物語。『桜時間』はとり子さんと息子のうさ吉,とり子さんと夫,そしてとり子さんと昔の彼氏の物語。『金髪の草原』は老人の夢とそれを見守るヘルパーさんの物語。
 当然1970年代〜80年代が背景で,先生が煙草を吸っていたり,今時の電話機が黒電話だったりするのだが,大島弓子さんの絵も物語も,エリュアールの詩が色褪せないように美しく人生の機微を紡ぎ,少女漫画でありながら読み手の年齢を選ばない。

四月怪談 (白泉社文庫)

四月怪談 (白泉社文庫)

 「ID-0」でオリハルトの中から出てきた猫耳少女が『綿の国星』のちび猫ちゃんを思い出させたので,どうしても大島弓子さん読みたくなってしまって,Kindleで選んだのがこの本だったのだった。