六月の雪

緋色は雪の涙なり

Learn as if you will live forever, Live as if you will die tomorrow.
 
 
  

史実で艦これ

 島風の最期,回天を載せたくなかった北上さん,長門と酒匂の最期に始まる。
 そして,おそらく艦これをやっていればみんなが知りたくなってくる各水雷戦隊の役割。華の二水戦は何故怖いのか? 神通と那珂ちゃんが如何にガチであるか。水雷戦隊の旗艦である阿武隈・神通・川内・那珂が,各々の秘蔵っ子駆逐艦(時雨・雪風綾波・夕立)を自慢するあたり楽しい。
 金剛4姉妹の歴史を12コマで語る「金剛デース!」はウェブで見たことあったけど,印象的だったので本で見られて感激かも。
 艦隊編成の表も嬉しい。6代目第三艦隊の絵は1ページだけど死ぬほど見所があって見るのに時間がかかる。前線で活躍し続けた妙高と羽黒の戦果がやばいほど凄かった件。
 そして困ったちゃんの青葉ちゃんの有名なサボ島沖夜戦。これもどこかで何回も見たなぁ。青葉,最期は古鷹山を守って頑張ったから許してやれよと,どこかで誰かが仰っていました。艦これの古鷹さんは重巡の誇りをいっぱい背負った艦娘なので青葉を怨むようなことはしていないでしょうね…と私も思う。で,このとき衣笠さんはめちゃ頑張って敵の追撃を許さなかったそうです。
 2回もイベントネタになった第三次ソロモン海戦。暁に夕立,比叡に霧島,そして綾波
 国民的人気を博した長門さんの素行。探照灯でスケッチの秋雲さん。真珠湾攻撃の裏で龍驤さん一人奮闘。潜水艦が苦手な龍田さんの描き下ろし漫画,千鳥型水雷艇の友鶴が悪天候の中で転覆した友鶴事件(1934年)。
 ラストの絵はポツダム宣言受諾と玉音放送の時の艦娘たち。たったこれだけしか残らなかったのだ。
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  • 史実で艦これ〜テッチャンはしっかり焼くべし編〜 (2014年8月17日発行)

 坊ノ岬沖海戦に始まり大和の逸話。そして魔のレイテ沖海戦
 ミッドウェー海戦(1942年6月)での飛龍の最期。蒼龍・赤城・加賀・飛龍を沈められて何で戦争続けたの?ということも艦これをやって空母喪失の意味を実感して初めて思ったことだが,艦これをやらなければレイテ(1944年10月)の悪夢*1も実感できなかったと思う。任務にもなって艦これ的に有名なのは時雨を除き全滅した西村艦隊のスリガオ海峡夜戦と,瑞鶴&瑞鳳が沈んだ小沢艦隊のエンガノ岬沖海戦だと思うが,その中で千代田と初月の最期,粟田艦隊と闘って鳥海・筑摩・鈴谷・野分を沈めた米軍駆逐艦などのエピソードは初めて知るものだった。
 終戦の15日前に海軍で追加されたカロリー管理の規則についてはもう何もコメントするまいと思うが,まぁ色々な意味で凄い。よくこんなことを調べたものだと作者に感動。
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  • 史実で艦これ〜豚バラ塩をウェルダンこの正義編〜 (2014年12月29日発行)

 表紙でテーブルについている艦娘たちは連合艦隊旗艦を経験した艦だとのこと。大淀だけが軽巡だが,彼女が艦隊旗艦の設備を持っていた理由もこの巻で語られている。戦況の変化で予定されていた任務に就けなかったのだ。悲しくない艦娘はいないから史実を知るのはなかなか残酷なのだが,知りたくさせるのが艦これなのだとつくづく。冒頭にはビスマルクの最期が描かれているが壮絶さに驚く。英国が総力を挙げて撃沈せねばならなかった恐ろしい戦艦だったらしい。昭和16年12月8日時点での駆逐隊一覧は艦娘たちの会話の裏を知る感じで参考になる。この本が発行された頃はまだ4駆のメンバー揃ってなかったし涼風もひとりぼっちだったらしい。扶桑さんの艦橋が15階建てだった件,磯風戦歴,怒らせると怖い筑摩,摩耶様建造事情,潜水艦のトイレ,大淀のカタパルト,間宮&伊良湖のスペック,追撃王たち,天龍と龍田の見分け方,清霜と46cm砲,略号一覧などなど。巻末の秋月の物語は良かった。生まれるのが少し遅かったけれど,最初から最期まで防空駆逐艦として任務を全うした艦だったのだなと。
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  • 史実で艦これ〜ネギタン塩片面焼き表面カリリ編〜 (2015年8月14日発行)

 昨年夏に「-史実で艦これ〜並カルビ味で見分けろ実力店編〜」と合わせて4冊目&5冊目ということで同時発行だったらしいが,こちらしか手に入らなかった。残念。
 冒頭は五十鈴の最期。彼女が対潜の艦娘である理由はこの最期にあるのだろうか。同郷の艦娘達。清霜がいつも「浦賀生まれよいいでしょ」というけど何が良いのか私は知りたい(本とは関係ない)。1ページの記事だけど長月嫁提督おもしろかった。長月そんな感じ。戦艦・重巡同型艦は別の建造所で作られているが利根筑だけは同郷というのもちょっと興味深い。特型まとめも便利。雷のプラモデルを作ったとき2つの煙突の太さが違うことには気づいたのだが,第1煙突が細いのは暁型の特徴だったのか。
 「餓えた狼」の呼び名の由来になった足柄の昭和12年の渡英とドイツ海軍ポケット戦艦シュペーとの出会い,後に妙高4姉妹でシュペーの敵討ちをすることになったエピソードは印象深すぎて忘れられないと思う。珈琲を飲む第六駆逐隊とイタリア戦艦の二人。イタリアでは底に砂糖が残るほど甘くして飲むのか!(甘いの苦手だ死にそう)
 手旗信号に国際信号旗一覧。覚えられません(^^;。
 天龍ちゃん視点の第一次ソロモン海戦(1942年8月8〜9日,Battle of Savo Island)。艦これでも随所にこの海戦の幻影を見る。加古の「行きはよいよい帰りはこわい」というセリフや,マンスリーの鬼畜任務「新編「三川艦隊」ソロモン方面へ!」(私は毎月スルーしている)などなど。高雄型は周囲を見渡すのに適した艦橋を備えていたことを今までの巻で読んでいたので,この海戦で鳥海が旗艦だったのはなるほどという感じ。天龍は老朽化で参加を断られていたとは。
 第18戦隊(天龍&龍田)の功績。伊勢・日向の着底,間宮の慰霊碑,神戸市民の摩耶愛,仲良しな愛宕と摩耶,摩耶と愛宕は一緒に沈んじゃうんだよね…。連装砲ちゃんと連装砲くん。熟練見張員。魚雷を使えない大淀。夜戦とサプリ。ビーチバレー。巻末の描き下ろしは第三次多号作戦(1944年=昭和19年11月11日)。輸送船団を護衛していた島風・浜波・長波・朝霜・若月は347機の敵機の攻撃を受け,朝霜を残し全滅し,第二水雷戦隊の司令官も島風と共に戦死した。こういうのを読むと生意気な朝霜を可愛がってあげないといけない気がする。
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 艦娘という存在なしでこのような史実を読んでも何も頭に入ってこなかっただろう。記憶を定着させたかったらそれ相当の工夫が必要であるし,工夫が成功すれば覚えられるということか。

*1:囮になった瑞鶴・瑞鳳・千歳・千代田はもちろん,武蔵・扶桑・山城・愛宕・摩耶・鳥海・最上・鈴谷・筑摩・多摩・能代阿武隈,そして秋月・初月・朝雲山雲・満潮・藤波・若葉・野分・不知火が沈んだ。