六月の雪

緋色は雪の涙なり

Learn as if you will live forever, Live as if you will die tomorrow.
 
 
  

楽園追放 Expelled from Paradise

 2014年11月公開,3DCGの劇場アニメ。
 終末もの大好きなので買ってあったのだが,見る暇がなくて,インフルエンザのおかげでようやく見た。
 
DSC04272.JPG
 
 人類のほとんどは電脳化された世界「ディーヴァ」でデータとして暮らしている。そこでは各々の実績に基づいたメモリが割り当てられ,より多くのメモリを獲得できた者がより自由度の高い体験を享受することができる。リソースには限界があるため当然のことと理解されている。
 一方地球は荒廃し文明は退化し残された人々は20世紀半ばくらい?の生活をしている。その退化した筈の地球からディーヴァへ不正アクセスした者があり,ディーバの捜査官アンジェラと地球のエージェントであるディンゴが「フロンティアセッター」と名乗るその正体を追う。

 ストーリーは,言ってしまえばまぁよくあるSF設定をつなぎ合わせたような内容なのだが,キャラクターやメカの魅力は特筆に値す。
 アンジェラは最初ディーヴァの中では成人女性として登場するが,マテリアルボディの成長時間を惜しんで16歳の姿で地球へ降り立つ。大人の中身を持ちながら16歳という設定は絶妙で,怒った顔も負けず嫌いな悔しげな表情も16歳の可愛らしさで緩和されてしまう。大人の女性らしい柔軟さが十六歳の表情を魅力的にする。3DCGでは細かい表情の変化が得意ということでそういう微妙さが良くでていたのかもしれない。あと,やたらお尻が露出したコスチュームだったのだが,3DCGではお尻の柔らかそうな質感も出しやすくて魅力になっていたそうだ。
 そして現地オブザーバーのディンゴだが,格好良すぎ。彼が登場してからはほぼアンジェラ脇役,おっさんの格好良さを楽しむアニメ!になっていた。昔のロックをこよなく愛し,ギターをたしなみ,頭脳明晰で事件解決の主導権も終始彼のもと。電脳世界には積極的に背を向けるが高所恐怖症。彼の活躍の場はもっと欲しかったくらいだった。
 自我を持った人工知能フロンティアセッターは,常識人で責任感が強く,ディンゴが言うには寂しがり屋。彼がたった一人きりでどんな旅をしていくのかとても気になるところだ。
 
 兎にも角にも「楽園」なんてディストピアだよね,だいたい。
 

 
 関連書籍が色々出ていてようやく読めるわけだが,何が何やらわからないのでリストアップしておく。

 2014年10月17日発売 / ISBN 978-4-15-031171-1
 著:八杉将司 / イラスト:齋藤将嗣 / ハヤカワ文庫
 映画のノベライズ。登場人物の大半が本編と同じ。

 

  • 『楽園追放 mission.0』

 2014年10月17日発売 / ISBN 978-4-09-451518-3
 著:手代木正太郎 / イラスト:齋藤将嗣 / ガガガ文庫
 映画のオリジナル前日譚 で,アンジェラの新人エージェント時代。

楽園追放 mission.0 (ガガガ文庫)

楽園追放 mission.0 (ガガガ文庫)

 

 2014年10月17日発売 / ISBN 978-4-15-031172-8
 編集:虚淵玄大森望 / ハヤカワ文庫
 劇場アニメ「楽園追放‐Expelled from Paradise‐」の世界構築のために虚淵玄が影響を受けた傑作SFの8篇。

 

 2014年11月15日発売 / ISBN 978-4-75-801411-3
 監修:東映アニメーション / イラスト:齋藤将嗣 / 一迅社
 イラスト・デザイン集。

楽園追放 Expelled from Paradise 齋藤将嗣デザインワークス

楽園追放 Expelled from Paradise 齋藤将嗣デザインワークス

 

  • 『楽園追放2.0 楽園残響 Godspeed You』

 2016年1月22日 / ISBN-13: 978-4150312152
 著:ニトロプラス/東映アニメーション, 大樹連司 / イラスト:齋藤将嗣 / ハヤカワ文庫
 本編アニメから半年後のディーヴァ。