六月の雪

緋色は雪の涙なり

Learn as if you will live forever, Live as if you will die tomorrow.
 
 
  

ヴォイニッチホテル (1)〜(3)

 最初に読もうと思った頃は Kindle版が出ていなかったので諦めていたのだが,最近調べたらそういうコミックが軒並みKindleになっていて喜びの悲鳴。
 これは,魔女と悪魔と殺しと麻薬とヤクザと子供とメイドの物語。平坦に描かれているけれど実は内容はへビーなので解剖実習で早々に吐き気をもよおすような人*1は少しだけ用心が必要かも? 何となく,コミックというより漫画と呼んだ方がしっくりくるようなイメージの作品。
 
 
 太平洋西部のブレフスキュ島のホテル・ヴォイニッチ。実は伝説が眠るホテル。
 物語は1日ずつ進んでいき,第1話=1日目でホテルを訪れるクズキタイゾウ(804号室宿泊),もしくはホテルのメイドのエレナが主人公。弱々しそうだがクズキはヤクザ。メイドは色黒で子供みたいな体型のエレナと金髪巨乳なベルナの二人,コックには自殺願望なエミリア,そして支配人のカンドレイ=ウメダがホテルのメンバー。
 島は内戦と麻薬「メルチェロ」の横行で荒れ果てており,ホテルの宿泊客もわけありばかり。1日ずつ進んでいく物語は,最初のうちはバラバラに見えるが,だんだんつながっていく。子供達が結成する探偵団に殺し屋,麻薬取引に魔女に幽霊,流血に嘔吐にセックス。人間が持つありとあらゆる汚い部分がグロテスクさを伴わずに淡々と流れてゆく不思議さ。物語が進むにつれ加速度的に引き込まれ,最後は何だか急いで読んでしまった。で,2回読まなければ理解できなかった><

 
 
 愛されると女は超絶変わる?!の巻。
 …ではないけれど,テネブラルムが凄すぎる&可愛すぎる&悲しすぎる。彼女を愛してここまで変えてしまったハカセが凄すぎる。一方タイゾウとベッドを共にしたあとのエレナは怖すぎる。魔女は敵に回したくないです。殺し屋なんて指先でもてあそぶ存在で,悪魔さえ魔女の敵ではないらしい。
 クロサワとスナーク,クロサワと間宮姉,スナークとエミリア。色々な関係。探偵団とオイロケ,アリスの話は殺しばかりの世界でちょっと和む。たまにちょっと出てくるキカイ田君がお茶目。 
 
 最終巻。
 バラバラ事件のベルナちゃん元通り。半バラバラ事件のタイゾウ君も元通り。小姉様の首のありかも分かってめでたしめでたし。
 既に何人死んだのやらわからないのに「めでたし」で良いのかと甚だしく疑問だが,エレナとタイゾウがハッピーエンドだし,ハカセは毎週初恋だし,アリスもフトッチョもオイロケも,そして消えたキャラかと思っていたカリエやミーシャも各々元気にしているのだから美しくハッピーエンドということで。
 島へやってきた新婚さんとスナーク,スナークとリーダー。リーダーはなかなか頼もしい奴である。成仏しそうになった幽霊たちに,ラクリマルムのロシア帰省。30年も変わらぬエレナとベルナを何の詮索もせず雇い続けている支配人はホント大きな人だと思いました! 
 

*1:男性に多かった