1974年の作品。古代文字を解き明かし神と戦う天才情報工学者、島津の物語。
世界の数カ所から発見されている「古代文字」を島津は「神」の言語でしかありえないと考える。なぜならその文字を解析した結果、論理記号が2つしかなく関係代名詞が十三重以上に入り組んでいることがわかったから。この言語は人間の脳の構造上理解不能である。人間は五つの論理記号を必要とし、関係代名詞が七重以上に入り組んだ文章を理解できない。
面白かった。世の中的には「SF」と分類されているようだが、個人的には言語学をキーにしたミステリー小説だと思う。
- 作者: 山田正紀
- 出版社/メーカー: 早川書房
- 発売日: 2010/04/05
- メディア: 文庫
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小学生の頃からSFを読みまくっていたのに、何故か山田正紀は読んだことなかった。高校生くらいの頃に一度読んでおかなかったことが悔やまれる。その時代に晒されながら読むという行為には意味がある。そして時代が遙か過去になった後に再び読むことにも別の意味がある。両方体感できる世代に生まれながらそうしなかったのだと思うと、十五夜を見ながら十三夜を見なかったみたいな残念さがつきまとう。
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