六月の雪

緋色は雪の涙なり

Learn as if you will live forever, Live as if you will die tomorrow.
 
 
  

The Velveteen Rabbit: or How Toys Become Real

あるクリスマスの日、男の子に贈られたベルベットの兎。
美しい兎は男の子に愛され、いつも一緒に野原へ遊びに出かけ、一緒に眠った。男の子にとってベルベットの兎は本物だった。兎も男の子が自分を必要としていることを知っていたから、男の子を支え続けた。けれど、別れがやってくる。どうしようも避けられない別れ。病気になった男の子の傍らにいた兎は消毒のために焼き捨てられねばならなかった。
あまりにも孤独な最後の夜。ベルベットの兎が流した一粒の涙から子供部屋の妖精が現れた。本当に愛された玩具が役目を終えたとき、妖精は現れて彼らを救うのだった。
男の子は、ある日家の近くで兎を見かける。兎には斑があり、それは彼の古い友人だったベルベットの兎のことを思い出させた。
 
子供部屋の妖精が本当にいたならば、どんなに救われることだろう。私は18歳で実家を出たとき、子供時代の懐かしい品々の大半とお別れしなければならなかった。物理的にどうにもならなかったから。今でもよく、連れて行けなかった玩具たちのことを思い出してごめんなさいと思う。愛された玩具というものは、たとえどんなに汚れたり壊れたりしていても独特の満たされた雰囲気を醸し出すものだが、そういう私が常々感じている印象が形になった物語だった。
訳本もあったのだが、どの訳が良いやらわからなかったし、何より紙の本は置き場所に困るし、原書がKindleで100円だったのでこちらを買うことに。
 

 
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