六月の雪

緋色は雪の涙なり

Learn as if you will live forever, Live as if you will die tomorrow.
 
 
  

終物語 上・中・下

終物語 (上) (講談社BOX)

終物語 (上) (講談社BOX)

上:おうぎフォーミュラ
暦は扇のことを「扇ちゃん」と呼び,可愛らしい後輩であるように書いているが,私にはひたすら薄気味悪いお化けにしか見えないので一々違和感。それはともかくとして,クイズみたいな物語。私はクイズやなぞなぞが得意ではないし好きではないし見識もないので良くできたクイズなのかどうかはわからない。面白くなかったとは思わないのだが人名がやたら多く,しかも独特の感性で形成された聞いたことも無い人名ばかりだったので,クラスメイトの紹介を読むのは苦痛だったし,どの名前をどこで聞いたのかも憶えられず,結果的に,物語が受けるべき正当な評価の半分も楽しめなかった気がする。結論はちょっとこじつけっぽく感じてしまったが,これは名前を覚えられず内容を楽しめなかったことから感じる不当な評価かもしれない。羽川さん好きでは無いけれど,最後に出てきた彼女の存在に心からほっとした。実は好きなのかもしれない。


上:そだちリドル
暦が扇と一緒に母校―中学校を訪れて記憶をたどる物語。2年ぶりに登校した老倉との再会がきっかけとなっていて,扇が推理小説を読むように暦の過去を推論してゆく。暦は大して悪くもなさそうなのに,何故か愚か者のレッテルを貼られ納得している。もし扇の推察通りだったとしても,愚か者は老倉であるように私には見えるのだが? 暦は嫌いなのだけど,それでも。執拗に暦をつけ回し責め立てる扇が人間でないことは確かなのだが。今回も最後に出てきた羽川さんに救われた気がした。やっぱり羽川さん好きになりそう。


上:そだちロスト
老倉と暦の過去の関係。老倉の現在と未来。それを追いながら如何に扇が薄気味悪い存在で,如何に羽川がそれに対抗できる力を持っている頼りになる存在であるかを説いていくような物語。暦は扇の存在に疑いを抱くことを決してせずに,憑かれているように見え,そういう場合はこうなるのかと思うとその様子がおそろしかった。
老倉の気持ちが分かりすぎて読むのがちょっと辛かった。


終物語 中 (講談社BOX)

終物語 中 (講談社BOX)

中:しのぶメイル
あとがきで著者自身が

『恋愛関係に発展しない男女のバディもの』に並々ならぬこだわりがある

と書いているわけだが,この巻は暦と神原駿河の会話が非常に楽しかった。神原や真宵と暦が繰り広げるノリの良い会話はこのシリーズを通してもっとも私のお気に入りな部分かもしれない。同じ恋愛関係に発展しない男女であっても,相手が扇だとストレスがたまるのだが,これは私が扇を嫌いすぎるから? 暦はもともと好きではないし?
まよいキョンシー』『しのぶタイム』『しのぶメイル』で3部作だったということで,夏休みが終わるあたりからの一連の話,『つばさタイガー』もからめて色々頭の中が整理できてスッキリした。


終物語 (下) (講談社BOX)

終物語 (下) (講談社BOX)

下:まよいヘル
私が知りたかったのはここからという感じ。久々に真宵ちゃんに会えた上に謎が解き明かされていって幸せな巻。とにかく名前を(読み方を含めて)憶えられなくて困ったもの。余弦(よづる)に正弦(ただつる)><? これだけの専門家ネットワークが協力しあって闘わねばならない敵とはどういった存在なのか。最後はちゃんと分かるんでしょうねー。まよいちゃんいいのか?


下:ひたぎランデブー
恋愛関係に発展しちゃった男女の話なので私的にはそれほど興味を惹かれなかったのだが,ひたぎが普通の子ではないので意外に面白かったのだった。まぁランデブーより本題はプラネタリウムの夢の方だったのかな。どこにでも現れるみんなの敵,忍野扇。主人公たる阿良々木暦のことを私は嫌いなわけなのだけど,アニバーサリー嫌いなところだけは共感がもてる。


下:おうぎダーク
だんだん誰が敵なのかわからなくなってしまったが,それは主人公が暦で扇だったからということらしい。私が扇も暦も嫌いと一貫して思っていたのはあながち間違いではなかったということか。臥煙おねーさんの言うことに一々反論したがる暦にイライラすると同時に,気持ちを引っ張られて読んでもいたのだろう。
ある程度の謎は解決したものの,結局気になる貝木の行方等々棚上げで,しかも存在を許されたダークな彼女? 暦と忍はそれで解決なのか? 色々納得いかないわと思ったら『続・終物語』に続くんですか>< 終わりに続があるのはあまりに締まらないと思うしいい加減に美しく終わってよと不満たらたらなのだが,気になるから結局「続」も読むと思う。

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