後書きによると,ここからがセカンドシーズン。初めて,暦ではない人物が語り手となる。主に羽川さん。たまに別の羽川さん。つかみ所が無く得体の知れないバサ姉の心の内が主題となる物語。そして彼女が彼女になる物語。羽川さんが恋敵のひたぎと仲良くできることが常々疑問だったが,説明されてもやっぱり心から理解はできなかった。誰かと誰かを同じくらいものすごく好きになったら可能なのか。別に羽川さんを贔屓にしているわけではないし,ひたぎが嫌いってわけでもないのだが,どうしても戦場ヶ原ひたぎがカムアウトしなければ,羽川さんは阿良々木くんと幸せになれた可能性があったのにと,この物語を読み終わってもまだ思う。まぁきっとなれなかったのだろうけれど。
化物語の時分と比較するとひたぎは随分と変わったように見えるが,変わったのではなく,新たに見えてきた本来の彼女なのだろう。彼女は常に突拍子もなく,私だったら彼女を相手にしたら微動だにできなくなってしまいそうなので近くに来ないで欲しいと思う人物だったが,今回は共感できる台詞が多かった。
嫌いなものがあるっていうのは、好きなものがあるっていうのと同じくらい大切なことじゃない
闇に鈍いだけだわ。それじゃあ……野生として落第よ
道理。
- 作者: 西尾維新,VOFAN
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2010/10/27
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
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語り手が羽川さんだったため,暦が持っているリズム感のある歯切れ良いテンポはなく,文章は真面目で知的。暦の文章はどんな絶望的状況であっても不思議と読んでいて楽しいのだが,羽川さんの物語は一本の筋のように最初から最後まで一環として淡々と切なくて心細くて悲しかった。
で,これで羽川さんの味覚なんかも変わるのだろうか???