六月の雪

緋色は雪の涙なり

Learn as if you will live forever, Live as if you will die tomorrow.
 
 
  

『愛はさだめ、さだめは死』

実に独特な世界観を表現する短編SF集。表題の『愛はさだめ、さだめは死』に代表されるように、人間に限らずエイリアンを含めた生命というものの美しくない一面を精神的にあるいはグロテスクにえぐり出す。最後の物語『最後の午後に』が私にはいちばん興味深かった。正直言って私は子孫の繁栄とかそういうことには興味がないので、もし自分の死の間際になって亜空間に漂う異星人たちの思考の糸の中への冒険を許されるなら、きっとそちらを選ぶだろうな。

人間は時間をたくわえる生き物なんだよ。それも、ごくゆっくりと、苦労を重ねて。ひとりひとりの人間がすこしずつ時間をたくわえ、それを自分の子供に残して死んでいく。ここにあるわれわれのコロニーは、過去の時間の貯蔵庫だ。