六月の雪

緋色は雪の涙なり

Learn as if you will live forever, Live as if you will die tomorrow.
 
 
  

風の歌を聴け

初読1979年8月。手元にあるのは定価690円と記された古い単行本。出版された直後に買ったのだが,第2刷。第1刷7月25日,第2刷8月10日なので,すごい勢いで売れたのだろう。中沢けいの『海を感じる時』を何度も読み返していた頃だったので,おそらく群像新人賞に惹かれて買ったのだろう。表題も素敵だと思った。帯には吉行淳之介氏の評が書かれており,時代を感じさせられる。
表面上は実にさらりと読めるのに,本当のところ内容的には高校生の私には理解できなかった。「21歳の僕」は海の見える街で夏を過ごしビールばかり飲んでいたという印象。「あらゆるものは通りすぎる。誰にもそれを捉えることはできない。僕たちはそんな風にして生きている。」という文だけがやたらと印象的だった。
30年以上経っての再読。何か当時と違った読み方ができるのだろうかと内心期待したのだが,心地よく読めるのに難しいという進歩のない体たらくだった。

風の歌を聴け

風の歌を聴け