六月の雪

緋色は雪の涙なり

Learn as if you will live forever, Live as if you will die tomorrow.
 
 
  

風になろう空気になろう

 決めつけと思い込みから自由でありたい。
 半世紀生きようと,一世紀生きようと,一瞬たりとも自分以外の生を体験することはない。
 交わる人々も,所詮自分の行動範囲。
 そんな狭く偏った人生経験を判断材料に,「そうである筈がない」とか「○○とはそういうものだ」などと言い放つのは,物事と見識の可能性を摘みとるだけの愚かな行為だ。

 理解されたい要求から自由でありたい。
 如何ほどに命を削って言葉を紡げど,人は他人を理解することなどできはしない。自分を語る言葉は少なく,小さく。されど他人が語る言葉には黙して耳を傾ける。何か思うことがあったとて,余計な意見など挟まず的確な相づちを返すにとどめたい。
 意見を口にするのは,それを求められたときだけでよい。

 生きている。人は空気になれない,風になれない。
 でも,空気のように風のように,ただ透明になって時を渡りたい。
 自己を主張することを忘れ,空を見上げ陽光を愛し雲を愛おしみ,ただ愛する人たちのそばで日の常を織っていたい。
 ここに何か書ければそれでよいではないか?

 大切なのは自分ではない。傍らにいる人の幸せだ。