デジカメを使うようになって,庶民にとって写真は身近な趣味になったと思う。
カメラもレンズも高いけれど,それ以上に枚数撮ればフィルム代や現像代がばかにならない,ゆえにフィルム時代は写真はブルジョアの趣味だったと思う。1枚1枚を大切に撮ってはいたけれど,結局は枚数をこなさないと腕は上がらないから。
最初にデジカメを買ったのは1997年12月。Richo DC-3Z(未だに製品情報のページがあるのか!)。まだデジカメを売っている店自体がすごーく少なくて,買うだけで一苦労だった。
次に買ったのが,Nikon COOLPIX800。1999年11月のこと。この2年間のデジカメの進歩はめざましいものだった。DC-3Zとは何もかもが雲泥の差! 本当にバランスの良いよくできたカメラで,ウェブに写真をアップするくらいなら200万画素で十分だったし,ずっとずっとこのカメラを使ってもいいと思っていた。気軽に沢山撮って,写真の撮り方,デジカメというものとの付き合い方を確立させてくれたのがこのカメラ。もし壊れなければ今も使っていただろうと思う,最高のカメラだった。
コンデジと平行して一眼デジタルを使うようになったのは2004年1月。友人から Fujifilm FinePix S2 Pro を譲ってもらったのがきっかけ。生まれて初めてニッコールの高いレンズを買ってつけた。写真はレンズだ!と心から思わせてくれたレンズだった。「Pro」とついているだけあってとても素晴らしいカメラなのだが,何しろ大きい! 電池も2種類要る! 当時でさえも旧式であることは否めない感があったが,このカメラによって一眼デジタルの気軽さと素晴らしさを習得したといってもいいだろう。
1999年購入のCOOLPIX800は単三電池で動く仕様だったが,2005年,新品の電池を入れても1枚か2枚撮れば電池マークが出てエラー発生という状況になり,諦めて買い直すことを決めた。素晴らしいカメラだったので次もCOOLPIXで捜し,2005年4月,広角とマクロに強いことを理由にCOOLPIX8400に決めた。5年の間にデジカメにはムービーが付くようになっていたのでオカメインコの写真を撮ったりして遊んだものだが,このカメラ,800に比べると大きくてバッグに入らない。機動性の悪さ故にイマイチ愛せず,デジカメ生活は800の頃より後退してしまった。
どうせ大きくて重いならということで,COOLPIX8400 より FinePix S2 Pro を持ち歩く機会が増え,2006年7月,使わなくなったフィルムカメラやレンズを一気に処分して Nikon D200 を購入,レンズも更に新しいニッコールレンズに買い直し,ついでにニッコールの10.5mm対角魚眼も手に入れた。このカメラは今もよく使われているメインカメラで,とても満足している。
私生活の変化によりどうしても小さなカメラが必要になって,2007年10月に Panasonic LUMIX DMC-FX33 を購入し,機動性についても満足なカメラ生活を送っているのが今。COOLPIX8400は保持しているし,壊れてもいないのに,すっかり使わなくなってしまった。ちょっと後ろめたい気持ちもあったが,忘れるようにしていた。
ところが...。
あるプロの写真家さんのブログで,コンデジのマクロ対決をやっていて,彼が持っているコンデジ4機種が挙げられていた中に,COOLPIX8400を発見!記事は2010年3月のものだ!
プロの方が見捨てずに使っているカメラだというのに,私は何ということをしてきたのだろう?
にわかに申し訳なくなって,カメラバッグの底に沈んでいた COOLPIX8400を引っ張り出してきた。
当然電源は入らないし,充電した電池を入れてみると,日付の設定をしろと言われる。如何に長いことほったらかしていたかということだ。
久々に撮ってみる。やっぱりマクロに強いかなぁ?
LUMIX DMC-FX33 と比較してみると,寄って大きな写真でマクロを撮れるのは FX33の方だったが,綺麗にぼかせるのは 8400の方だった。やはりレンズの口径が効いているのだろう。結局写真はレンズなのだから!
8400はやっぱり大きさ的にも性能的にも中途半端で使い辛いが,何かこのカメラの特性を生かしたお仕事をさせてあげたいなと思ったのだった。今までごめんね。